自分はいま出来る事『が』できる

 楽器の練習に取り組むとき、「自分はいまできること『が』できる」、という考え方に立脚するとずいぶん練習が捗ります。

 

どういうことか。

 

私たちは楽器に取り組む時、ほとんどしょっちゅう

 

「あれができてない」

「自分これができない」

「ここがダメ」

「ここが悪い」

 

etc....

 

という思考に支配されています。

 

これ、身体にとってはストレス以外のなにものでもありません。この考え方は一見「自分に厳しい」ので「正しい」考え方に見えますが、練習の効率や効果とい点ではおそらくマイナスです。

 

身体は、できないことをやろうとすると緊張します。緊張は楽器の演奏の助けになりますか?なりませんよね。でも私たちは、「できないこと」「できないところ」が「あってはならない」と思っていて、その汚点を正すためにできないところに一生懸命取り組み直すー。極端に言えばそんな考え方をしがちです。

 

これこそが、私たちの身体を緊張させ、演奏を阻害し、ときには怪我をもたらしたり、心の元気を奪って楽器の練習に取り組む気持ちをすっかり萎えさせる大きな原因の一つです。

 

では、どうすればいいのか?

 

 

「自分はいまできること『が』できる」という考え方に基づいてやってみるのはどうでしょうか? 能力がどれだけ高かろうが低かろうが、誰にでもできないことはあります。そして誰であっても「できる」ことは「いま自分ができること」以外の何ものでもないのです。

 

「できない」ことを打ち消そうとしたり、歯を食いしばって全身に力を込めて「ひたすら頑張る」のも一つの方法ではありますが、私は次のような方法を提案します。

 

 

 

1:取り組む曲、フレーズ、音階などを決める。

 

2:それを一度やってみる。

 

3:もうちょっと取り組んでみたければ、何か実験的に変えてもう一度やってみる。

 (イメージ、姿勢、スピード、ちょっとした技術的なこと、変えてみるのは何でもよい。)

 

4:結果を確認する。

 

5:もしちょっとでも変わったら、それを祝福する。

 

 

 

最後のところが肝心です。大事なのは「変わった」ということを喜ぶことです。なぜなら、まだ「できてない」状態であったとしても、ほんの一ミリでも良い方に何かが変わっていたとしたら、それはまぎれもなく「上達」だからです。

 

「できる」方にほんの少しでも進んだ。それが大切です。「自分はいまできること『が』できる」という考え方に基づけば、その「できる」ことがより広がり、目指している方に成長したのですから。

 

 

「できていない」「まだダメ」なところに着目して「できていない自分」を厳しく正すのかー。

 

それとも、

 

「自分はいまできること『が』できる」のだから、その「できる」ことが少しでも増えたり変わったりしたことを祝福し前進していくのかー。

 

 

社会心理学の実験で、質の高い練習を1万時間積み重ねた人はどんな分野でもその分野において「熟達(Mastery)するらしい、ということが分かっています。

 

1万時間の積み重ね。これは膨大な時間です。しかし、裏を返せば誰でも積み重ねにより熟達の域に達することができるということでもあります。

 

それなら、気長にやるのが大事だと思いませんか?そのためにも「自分はいまできること『が』できる」という考え方は役立つのではないかと思います。

 

ぜひ、お試し有れ!

 

 

 

 

ジュリアード音楽院やギルドホール音楽院、バークリー音楽院から英国王立音楽大学など世界のトップレベルの音楽教育機関で、演奏家の才能を守り育てるために必須となっている心身教育メソッド「アレクサンダー・テクニーク」。無料メルマガですが、配信内容は豊富で出版されているあらゆる本より分かりやすく、役立ちます。左の画像をクリック!